武悪面

 

    鍛金の先生から、「次は、能面を作ってみましょう!」

   と課題が出て、図書館から面の資料を有るだけ借りてきました。

   だけど能面はどれも怖い・・・作っても壁に飾るのはちょっと・・・・

    その中に狂言面の本が1冊あり 何の知識も無いまま

  パラパラと見てみると、どの面も愛嬌があって、どことなくユーモラス。

   髪や髭を植毛したり、彩色の必要も無い面の中から

  《武悪》 という面を選んで、先生に御伺いをたてたところ

  苦笑いしつつもOK! 先生の指導の思惑から少々外れていますが、

   凹凸も大きく、深い掘り込みもあるのでかなり勉強になりそうです。

 

武悪 buaku01

 写真を元に油粘土で実寸大の

面を作りました。

 四半世紀ぶり?の粘土いじり・・

悪戦苦闘しつつも 結構楽しい。

武悪 buaku02 

 粘土と格闘する事約半日・・・

正面と側面の写真を頼りに

なんとか製作。

 資料の写真とは若干?人相が違う

けど、能面と違って定型面が無く、

作者によって顔立ちは様々らしいので

とりあえずOK・・?

武悪 buaku03

 下からの写真が無かったので

鼻の穴がどうなっているのか不明・・・

耳の形状も良くわからない・・・

 ともあれ これを元に

製作開始です。

 

 

武悪 buaku04

 粘土型を採寸し、1.2oの銅版から

地金を切り出します。

 小心者なので

ちょっと大きめに地金取り・・・

武悪 buaku05

 まずは裏から

撞木槌を使って張り出し。

 どうやら地金が足りなくなる事は

無さそうです。 

武悪 buaku06

 鼻の高さを出すべく絞り開始。

頬骨と口周りも意識しながら

ちょっとずつ成形。

 

 鍛金は時間が掛かります・・

武悪 buaku09

 ちょっと顔っぽくなってきました。

意外に鼻が高く、彫りが深いので、

納得できる面が作れるか少々不安・・

 口廻りのマイナス面も

結構梃子摺りそうな予感・・

武悪 buaku10

 地金の伸びを計算に入れて

目と歯の位置を決めます。

 

 ここまでは、当て金と金槌のみで成形。

この時点では随分表情が違います。

武悪 buaku11

 目と鼻の掘り込みがきついので

砂袋と鏨を使って少しずつ深くしてい

きます。

 

 資料によると 《怒るが如く、泣ける

が如く、笑うが如く》 という表情

 とありました・・・無理です・・・・

 この後、数回均しを繰り返し、

目穴を開け、いよいよ着色です。

武悪面 buaku17

 硫化着色後、高い部分を摺り剥が

すと、思いの他 迫力のある顔になりました。

 粘土型ドンズバを目指したものの、

計ってみると誤差オンパレード・・・

 当然表情が微妙に違う面に

なってしまいました・・・

(ドンズバ・オンパレード・・・死語多過ぎ・・・)

武悪面 buaku13 鍛金

 粘土型と並べなければ

そこそこ見られる・・・と思おう。

 

 製作し始めた時は、もっと酷い

仕上がりも覚悟していたので、

今の実力では、これが精一杯です。

武悪面 鍛金

 ともかく 先生のご指導のおかげで

何とか形になりました。

 

 結構な時間 にらめっこしながら作

ったので、情が移って

この顔が愛おしく見えます・・

 

buaku18 鍛金

 完成直後 ある展示会に出品する

事になり、そのままぶら下げるの

も可哀そうなので、

杉の木?をバーナーで焦がして

民芸調?にし、

急場凌ぎに体裁を整えました。

 

 

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